「……違、う」
「は?」
目の前の暁さんは、魁さんとの結婚が政略結婚だって言い切るけれど。
「それだけは、絶対に違うっ!!」
気がつけば、彼女に向かって叫んでいた。
だって……
初めて会ったクリスマス・パーティーで「俺の妻にしてやる」って言ってくれたのは、間違いなく魁さんで。
ずっと引き篭もって心を閉ざしていた私の結婚が、あの時点で決まっていたとは到底思えない。
なによりも。
私を愛おしそうに見つめるダークブラウンの瞳が偽りのものだったなんて、絶対に信じたくなかった。
「なっ、なによ……本当のこと教えてあげてるのに」
一瞬、たじろいだ暁さんだったけれど
「ホント、むかつく女っ!」
私の態度に激高して、手を振り上げたのが視線の端に映る。
また殴られるのか、と覚悟して、目をぎゅっと瞑った時だった。
入り口の扉に、何かがぶつかる大きな音が聞こえてきた。


