自分に向けられた言葉に、思考が追いついていかなかった。
だって、そんな話は今まで聞いたこともなくて。
もし仮に、本当に私が子供を産めない体だったとしたら、きっとマーク兄さんかアル兄さんが教えてくれるはず。
でも、今まで主治医のお医者様に言われたことはないし、マーク兄さん達からも聞いたことがない。
いったい、彼女はどこからそんな話を聞いてきたの?
あらゆる疑問がぐるぐると回る中、噛み締めることをすっかり忘れていた口から暁さんの指がすぽりと抜けてしまう。
「……っ…くそっ、思いっきり噛み付きやがって!」
「おい、ユエ、大丈夫かよ?」
「大丈夫なわけねぇだろっ!」
それを見ていた男が彼女の指を確認するように前屈みになると、鎖が弛んで喉が少し楽になる。
「っは、……」
霞む視界に目を細めれば、思いっきり噛み付いていた彼女の指先からは血が流れ出ていて。
口の中には、いつの間にか苦味に混じって鉄分の味が広がっていた。


