「お、おい! 大丈夫かっ!?」
白目をむいて失神している二人を揺する仲間の男。
「……ってぇな」
その中で、一緒に倒れ込んだ男の一人がヨロヨロと立ち上がる。
「なっ……何なんだよ、この女っ!」
まさか女に先手を打たれるとは思っていなかったようで、慌てて構える男達。
だけど……
「……遅い!」
とっくに戦闘態勢に入っている私の方が、素早かった。
一歩踏み込んで、目の前の男の脇腹に拳を叩き込むと
「かはっ……」
苦悶の表情を浮かべて膝をつく。
すぐに立ち上がれないのを確認してから、新たに向かってくる男に視線を向ければ
「クソがっ!!」
ものすごい形相で、金属バットを振り上げてくる。
───そんなモノで殴られたら、死んじゃうからっ!!
そう心の中で文句を言いながら、金属バットが振り下ろされる前に、それを右腕で受け流し
「ガラ空き」
無防備な鳩尾目掛けて左腕を突き出した。


