Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】




「早く殺る」だとか「ヤクでキメる」とか、物騒な言葉が飛び交うこの部屋で、モタモタしてたら逃げ場を失ってしまう。


「……………………」


ちらりと部屋全体の様子を窺って、扉までの距離を測る。

ここから出口までは、大体15歩くらい。

男達が後ろを向いてなにやら話し込んでいる間にこの部屋から逃げようと、一歩だけ左に動いてみれば


「誰から、ヤるんだよ?」


「そりゃ、公平にじゃんけんだろ」


「はぁ? 順番で言ったら、俺が一番じゃね?」


「いやいや、ここは……」


私の動きに、まったく気づくことなく話を続けていた。


「……………………」


これなら、すんなり出口近くまでは行けるかもしれない。

そう考えた私は、男達の動きを気にしながら一歩、また一歩と出口に近づいていく。