かちゃりと開いた入り口からは、大音量の音楽が流れてきて
「失礼致します」
飲み物を持ったウェイターが入ってきた。
無意識にその動きを目で追っていれば
「カルーア・ミルクでございます」
テーブルの前で片膝をついてグラスを置いていく。
───あれ?
暁さん、飲み物なんていつ頼んだんだろ?
なんてことをぼんやりと考えていれば、立ち上がる直前に転がっている灰皿をサイドテーブルに戻すと、一礼して下がって行くウェイター。
「……………………」
「……………………」
二人きりになった部屋は、再び重い空気に包まれた。


