───ここは一体、どこなんだろう……?
窓から見える景色を、きょろきょろと見ていると
「行くわよ」
そう言ってドアを開けた暁さんは、私の腕をがっちりと掴んで離してくれなかった。
引き摺られるように車を降りて、そのまま薄暗くライトアップされたビルの階段を下りる。
どうやら此処はお店だったようで、ドアが開けられた途端に大音量の音楽が聞こえてきた。
入り口に立っていた大柄な男を横目に、躊躇することなく先に進んでいく暁さん。
その後をついて行くしかない私は、大きな音に耐え切れず、掴まれていない方の手で片耳を覆っていた。