『……まぁ、仮にそれを知ったところで、拉致を前提にした計画を立ててるんだから、どうせ結果は同じことなんだけどね』


「じゃあ、どうすれば良かったっていうのよっ!」


アハハ、と軽く笑う男に、今度こそ声を上げた女。


『そんなの、俺に聞かれたって困るんだけど。俺の仕事は、あくまでも依頼主が必要としている情報を売ってるだけだし』


それに迷惑そうに答えた男は


『それよりもさぁ……早く様子見に行った方がいいんじゃないの? モタモタしてると、マリア・ウィンザーを捕まえたあんたの苦労が水の泡になるよ?』


「……っ、今、行くわよっ!!」


残りのカクテルを一気に喉に流し込んで立ち上がった女に


『あぁ、それと……あんたからの依頼は、今後一切受けないから、そのつもりで』


「……どういうこと?」


『今回の件で、俺があんたと関わってるってバレると、色々とマズイんだよねぇ』


「……………………」


『だから、もし誰かに俺の名前を出したりしたら……わかってるよね?』


確認するように尋ねる。