『いや、あれで全部だよ。あんたに依頼された仕事に関しては、ね』
「なっ……」
『だって、あんたから受けた依頼は三つだけだっただろ』
声を上げようとした女の言葉を遮った男は、依頼内容を確認するように一つずつ読み上げていく。
一つ目は、結城魁の婚約者の名前を調べること。
二つ目は、その婚約者がどこの学校に通っているのかを調べること。
そして、三つ目は……
結城魁と結婚出来なくなるような、マリア・ウィンザーの秘密を探ること。
『ね? あんたから受けた依頼は、その三つ。その依頼に関しては、きっちりと仕事したでしょ。だから……もし俺が、マリア・ウィンザーに関しての情報を他に知っていたとしても、あんたに知らせる義務はないんだよ』
「……っ……!!」