Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】





「……っ!?」


その言葉に驚いて振り返った女は、きょろきょろと店内を見回した。

まさか、男がこの店にいるのだろうかと思ったが、そこに見知った姿は見当たらない。

だが……


『なに、そんなに慌ててるのさ』


「……………………」


カクテル。

それは男の言うとおり、先ほどから女が飲んでいる飲み物で。

しかも、今の慌てた様子でさえバレているのだから、近くに身を潜めているのかもしれない。


「……クロ、あんた今どこにいるの?」


そう考えれば、すっかり機嫌を悪くした女の声が低くなる。