「……っ!?」 その言葉に驚いて振り返った女は、きょろきょろと店内を見回した。 まさか、男がこの店にいるのだろうかと思ったが、そこに見知った姿は見当たらない。 だが…… 『なに、そんなに慌ててるのさ』 「……………………」 カクテル。 それは男の言うとおり、先ほどから女が飲んでいる飲み物で。 しかも、今の慌てた様子でさえバレているのだから、近くに身を潜めているのかもしれない。 「……クロ、あんた今どこにいるの?」 そう考えれば、すっかり機嫌を悪くした女の声が低くなる。