マリアが、まだ家に帰ってない?

……って、もう七時なのに?


「はぁ!? まだ帰ってないって、どういうことよ!?」


思わず叫んだ声が、誰もいない廊下に響き渡る。


『俺が知るかっ!』


そんな私の声に負けず劣らずデカイ声で返してくるコイツは、バカじゃなかろうか。


「あんたねぇ……何が、まだ何かあったわけじゃない、よ。方向音痴のあの子が連絡もせずにこんな時間まで帰って来ないなんて、思いっきり何かあったに決まってるじゃない!」


何、暢気なことを言ってるの。


『それが分からねぇからさっきから電話してるのに、お前が出なかったんだろうが』


「部活中に、スマホなんて持って歩かないわよ」


当然、部活中は部室のロッカーの中だ。


「それよりも……あんたが知ってるくらいなんだから、結城もマリアを探してるんでしょ?」


当たり前のことを聞いたのに


『……………………』


何で、ここで無言になるのよ。