なんて、ホッとしたのも束の間で。


「お前なら大丈夫だと思うが、気をつけろよ。奴ら、そろそろ動き出すぞ」


「……あぁ」


蓮の口からは、なんだか恐ろしい言葉が飛び出してくる。

気をつけろって、何に?

“奴ら”って、誰のこと?

結城って、まだ暴走族の危ない奴らに狙われていたりするんだろうか……。

そんな男のバイクに乗っていたら、マリアも狙われるんじゃないの?


「……………………」


だんだん不安になってきた。


「綾ちゃん、また月曜日ね」


黒光りした車体がゆっくりと動き出すと、笑顔で手を振ってくるマリア。


「あ、マ……」


やっぱり、バイクに乗らない方がいいんじゃないかと思い始めて声を掛けようとしたけど、ヴォン……と、大きなエンジン音に遮られてマリアの耳には届かなかった。


言葉では言い表しがたい不安が消えないまま、小さくなっていくマリア達を目で追いかけていれば


「綾。周防マリアのことで、お前に大事な話がある」


「大事な話?」


ひどく神妙な顔つきになった蓮が、私を見ていた。