そんな信じられないような光景を目の当たりにしながら、蓮と会話を交わしていれば


「行くぞ」


「はい」


いつの間にか、帰る話になっていたマリア達。

え?と思った時には、躊躇せずにマリアの脇に手を差し入れて軽々と持ち上げる結城が見えて。

バイクの後部シートにそっと乗せられたマリアも、戸惑うことなくフルフェイスのメットを被せられていることから、この動作も慣れたものなんだろうな……なんてぼんやり考えていたら


「……魁」


バイクに跨って、メットを被る結城に声を掛けた蓮。

それに視線だけを向けた結城は


「───後の説明は頼んだぞ」


「あぁ、任せろ」


蓮と訳が分からない会話を交わすと、鍵に手を伸ばしてエンジンを掛けた。


「あ……」


結城の手元で揺れた見覚えのあるキーケースが目に入って、思わず声が漏れる。

急いでマリアを見れば、それに気づいた彼女に、にこりと笑顔を返された。

本当は、プレゼントをちゃんと渡せたのかも聞きたかったんだけど。

マリアに聞かされた話にびっくりしすぎて、すっかり忘れていた。


……そっか。プレゼント、ちゃんと渡せたんだ。