Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】



「此処から動くな、って……?」


「うん」


それって、もしかしなくても奴が此処に来るって言ってるようなものよね?

この部屋に、蓮が来るなんて……


───冗談じゃないっ!!


「マリア、すぐに此処から出るわよ!」


「え? でも、蓮さんが動くなって……」


「家から出なきゃいいんだから、問題ないわ」


この部屋を見て、あいつになんて言われるかなんて簡単に想像できる。

奴が家に来るのにそう時間は掛からないだろうから、取り敢えずは居間にでも移動しておこう。

そうと決まれば、善は急げ。


「行くわよ」


「は、はい!」


私の声に、慌てて荷物を手にして立ち上がったマリア。


その姿を確認してからドアを開けて、足を一歩踏み出した時だった。


「ったく……こんな所に、隠れてやがったのか」


仏頂面をした蓮が、廊下の向こうから歩いて来る姿が目に入った。