「マリアちゃんの部屋は、客室に用意してあるから」
そんな光景を微笑ましく見ていると、背後から掛かった声に振り返る。
そこには兄貴とマークさんが並んで立って、こっちを見ていた。
「……分かった」
それに小さく頷いて、再び歩き出す魁君。
“ごゆっくり”
そう言おうとしたけれど……
目と鼻の先に居る大魔王様と、その後ろに控えていた家来(アル君)が、今にも後を着いていきそうだったから出掛かった言葉を飲み込んだ。
なのに……
「……………………」
「じゃあ、俺も……」
案の定、無言で魁君の後を追いかけて行こうとしたマークさんと、その後に続こうとしたアル君。
「何言ってるの。マークさんとアル君に、是非飲んでもらいたい紅茶を用意してあるんだから」
「は? 紅茶?」
「うん。めっちゃ美味しい紅茶だよ?」
二人の目の前に立ちはだかり、強引に応接間へと誘導しようとしているのに……
「じゃあ、マリアの様子を見たら頂くよ」
それを恐ろしいくらいの笑顔でスルーするマークさん。
もう、やだこの人……


