気付いたら、昇降口を過ぎていた。
私…なんで来たんだろう。
そう…
そっ、そうよ!あいつに借りを作らないため!
私は、ずっとそう自分に言い聞かせながら、あいつのところへ向かった。
ガラッ!!
「はぁっ、まだ…いたの?…っ」
「お前、おっせーよ!ってか、なんでそんな過呼吸なんだよ!」
「はぁ!?あんたのせいでしょ!?」
「はっ!!なんで俺のせいなんだよ!」
「てゆーか、なんで私にここに来いって言ったの?」
「別に。暇だから。」
「は?部活終わったんだから帰りなさいよ!」
「1人で帰りたくねーよ。」
悲しそうな表情だった。
「なんで?帰る友達いるでしょ?あんた、いつも色んな友達に囲まれてない?」
「部活サボってんのいないから、俺だけなの。」
「なんで部活行かないの?」
「お前には関係ない。とりあえず、帰ろーぜ。」
「え、あ、うん。」
理由は、聞かなかった。悲しそうな顔してたし、聞いたら怒られそうだった。
だから、素直にこいつと2人で下校した。
下校中…
「…ちょっと!?何してんの!?」
こいつが手を繋いできた。
「なに?」
「普通の顔で『何?』とかいわないでよ!」
「なぁ、俺らさ、付き合わねー?」
「…はぁ!?ちょ、何いってんの!キモ…うわっ!?」
こいつがいきなり繋いだままの私の手を引っ張ってきた。
私は、勢いであいつの唇へ…
柔らかい感触がした。
「ちょっ!?」
いきなりのキスで、頬が赤く染まった。
ほんの一瞬だったけど、ドキドキした。
「俺、本気でお前の事好きだから。じゃーな。俺、右曲がるから。」