「起きろー有紗!!朝だよ!!」

僕の朝は、彼女の布団を剥ぎ取ることから始まる。
今は四月。とはいえど、冬の寒さが少し残ってて肌寒い。
布団を剥ぎ取られ、体を小さく丸めプルプル涙目で震える彼女の頭を、僕はしゃがんで軽く叩いた。

「はぅっ!!」
「もー朝なの。早く起きないと遅刻するよ?」
「う~…、酷いよ聖ちゃん…。天使の休息の時間を奪うなんてぇ…」
「何が天使だ、このまま布団から出てこないなら僕はお前を悪魔と認識するよ」
「はぁ…わかったよぉ…。ん、だっこして」
「はいはい」

ベットに座り両手を広げだっこを待つ彼女を、僕はふわっ、と抱き上げる。

「へへー♪」
「ほら、下ろすよ?」
「んーん!もーちょっと!」
「もー…」

僕の首に手を回しギュッ、と抱きしめてくる彼女の背中をポンポン叩きながら、ふぅ、と溜め息をつく。

「今日ねぇ、学校終わったら病院なんだぁ」
「へぇ、なんでさ 」
「前の検査でね、少し悪いところがあったらしくて…。今回は検査入院するかも」
「じゃあ毎日お見舞い行かなきゃだな」
「うんっ!!きてきて!!」
「てゆーか、そろそろ下ろすぞ?」
「む、はぁい…」