いざ探してみると、本当にたくさんの種類のものがあった。ピンクでほわほわしてるものから、黄色やオレンジで明るいもの、青や水色でさわやかなもの、そして黒や紺、紫で大人っぽいもの。
「たくさんあって迷っちゃう!」
あたしは服を選ぶのが好きで、着物なんてめったに着られるものじゃないからルンルンで探した。
「なんなんだ、あいつは」
俺は小梅よりも先に着物を選び、お吉の元へ来ていた。
「土方さんが女の子を連れてくるのは珍しいわね」
お吉がニヤツいた顔で言ってきたが無視した。無視した俺に腹が経ったのか、しばらく睨んできたが、いきなり話を変えてきた。
「土方さんはずっと農民のままで武士にはならんの?」
お吉は俺の今の悩みの種を見事についてきた。もし、小梅の言うことが本当なら俺は一年後にかっちゃんたちと離れて暮らすことになるのかもしれない。
小梅が嘘をついているのかもしれないが、あいつは本当のことを言っているような気がする。
「なりたくてもなれねぇんだよ」
この世は不公平だ。俺は農民の息子。家族が嫌いな訳じゃない。むしろ好きだ。ただひとつで俺が一番欲しかったものがないだけ。
俺はただ、
「武士になりたいだけなんだけどな」
いざ口に出すと切なくなった。こんな俺を知られたくなくて話をそらす。
「ほらお吉。そろそろ小梅も着物を決めるころだろう。」
お吉は何か言いたげな顔をしていたが、俺は話すことを許さなかった。
俺は弱い。
