「相変わらず、可愛いなぁ」

梅の木へたどり着いた小梅は木を見上げながらうっとりと呟く。

小梅が梅が好きな理由は可愛いだけでなく、自分の名前にも梅という字が使われているからだ。

この名前は親が付けてくれた。
実は剣道を始めたのも親からずっと新撰組の話を聞いていたからだ。
小梅の両親は新撰組が大好きで、まだ小さい小梅に延々と新撰組について語っていた。
そのおかげか、幕末あたりの歴史は成績が良かった。

小梅は背を伸ばせばつかめそうな梅の花を見つけた。
そして小梅はその花へと手を伸ばした…



「…」

「ん?なんか声がしたような…」

あたりをキョロキョロと見渡すが、誰もいない。勘違いかなと思いかけたその時。

「奇跡って信じる?」

小梅が触れた梅の花から声が聞こえた。

「え?」

小梅が聞き返したとき、光が視界を支配した。