「色々事情があってな、しばらくの間、見張れなくなったんだ。……そこでだ、お前にその間の監視をしてもらいたい」
西川は、ほっと胸を撫で下ろした。
なんだ、そういうことか。
「……分かりました。変な行動を起こさないように見ていればいいのですね」
それなら出来る。
西川には、すごい自信があった。
なんてったって、相手は少女だ。
まだ、子供。
なにかをしそうになっても、力で止めることが出来る。
それに、沢渡部長が言うほどのモノではないと、なんとなく思ったからだ。
沢渡は、怪しく微笑んだ。
「頼んだぞ、西川。……もし上手くいけば、昇進は確実だからな」
「はい、部長」
西川は、嬉しくなった。
少女を見張っておくだけで、昇進。
なんて楽な仕事だろう。
今にもニヤけそうになる顔をぐっと我慢し、西川は大きな声で返事をした。
沢渡はもう一度微笑むと、大きな扉を開けた。
二人が話している会議室は少し暗いため、外の光がやけに眩しく、西川は目を細めた。
「言っておくが……なめてかかるなよ」


