……袋だ。


 小さい茶色の袋の中に入っている〝ナニカ〟を、西川は取り出した。



「USB……」


 西川は自分のパソコンを机に置いて起動させ、USBを差し込んだ。

 沢渡は、その様子をじっと見つめた。



「な、なんですか……これ」


 西川は驚く。


 パソコンに映し出されているのは、1人の少女だった。

 おそらく、15、6歳だろう。



 沢渡は待ってましたというように、話し出す。


「お前には、ある役をしてもらう」


「役……?」


 西川は、沢渡を見る。



「滋賀に行ってもらう本当の理由は、その少女の監視をしてもらうためだ」


 沢渡は再び、眼鏡をクイッと上げた。



「監視……ですか」


「ああ…その少女は、すごい異常なんだ。もしかしたら犯罪を犯すかもしれないと、大分前から見張っているのだが……」



 異常……。


 西川は、沢渡の言葉を、そっと心の中で繰り返した。