サイコさんは、憂鬱なのです。







 サイコと西川は、ひたすら走り続ける。


 静かな緑の道を通って、大きい道路に出る。



 西川は、訳が分からないまま、サイコについて行く。




 そして、小さな工場を通り過ぎようとした時。



「きゃあああ!」


 という叫び声が聞こえて、西川とサイコは足を止めた。


「今のって……」


「ここか」


 驚く西川と、冷静に叫び声が聞こえた工場を見つめるサイコ。


 サイコは足を工場に向けると、走って工場の中に入って行った。



「え、ちょ、待って!」


 西川はポケットから携帯電話を出しながら、工場の中に走って入って行く。



 西川は、走っているからか手が震えて、携帯の操作が出来ない。


 なにか事件が起こっているということは明らかなはずなのに、電話をすることが出来ず、西川はサイコの後ろ姿と携帯電話を代わる代わるに見つめた。




 サイコは角を右に曲がろうとしたが、急に止まった。


 西川は、止まってなにかを見つめているサイコの隣まで行く。



「っ!」


 西川は驚いて、固まってしまった。


 建物と建物の間だからか、少し暗い場所。

 サイコと西川の前に広がる景色。



 それは…………。