サイコさんは、憂鬱なのです。







 なんなんだろう……?


 西川は少し不思議に思った。

 西川は速めていた足を遅め、再びサイコの後ろでゆっくりと歩き始めた。





 <……その時だった。>


 いきなり、サイコの足が止まった。



「おおっ!」


 西川は、サイコにぶつかる少し手前で止まる。



「どうしたんで……っ」


 西川が言葉を発した時、サイコは西川の方を向いた。

 驚いて、西川は話すことを止めた。


 けれど、サイコは西川ではなく、そのもっと後ろを見つめている。



「……銃声」


「はっ?」


 少し間を置いてから、サイコは静かに、小さい声で呟いた。

 西川には意味が分からなくて、サイコを見ながら困っているだけ。



「……行くぞ、西川」


「え?」


 サイコは、西川の横をするりと通り抜けると、走り出した。



「え、ちょ、まっ!」


 急いで西川も後を追う。