サイコさんは、憂鬱なのです。







 サイコはにっこりと微笑んだ。



「さあ、散歩に行くか」


 サイコはそう言うと、玄関へと歩き出した。

 西川は、慌ててサイコの後を追った。








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「……あの、ここどこですか?」


 西川は、辺りを見渡しながらそう言った。


 自然に囲まれていて、蝉の鳴き声がやけに響く、静かな細い道路。

 その真ん中を、サイコはスタスタと進んでいく。


 西川には、あまり目にすることのない景色で、少し緊張していた。


 それよりも、西川には気になることがある。



「どこに行くんですか……?」


 サイコは、西川の言葉に一切反応しない。



「あの、サイコさん……?」


 西川は、少し足を速めてサイコの隣に並んだ。

 そして、サイコの顔を覗き見る。


 サイコは真っ直ぐ前を見ていた。

 その顔は真剣で、前…というよりは、どこか遠くを見ているようだ。


 何かを考えているようにも見えた。