サイコさんは、憂鬱なのです。







 少女は、髪の毛を束ねて上に上げる。


 そしてぼさぼさのウィッグを被ると、持っていた鏡でそれを整える。

 すると金髪の彼女は、一気にぼさぼさの黒髪の彼女に変わった。


 それだけじゃない。


 メイクポーチの中から、彼女は何かを取り出した。

 ……黒いコンタクトレンズだ。


 彼女は慣れた手つきで、そのコンタクトレンズを付けた。


 その後、彼女は銀縁の眼鏡をかけた。



 少女が、西川の方を見た。



「え……」


 西川は、自分の目を疑う。


 さっきまで、金髪の美少女が前にいたのに。

 今目の前にいるのは、ぼさぼさ黒髪の……写真に写っていた少女なのだ。



「は?あ、え?」


 西川の頭の中は、なにがなんだか分からない状態になっていた。



「さあ、行こうか!」


 少女は、満面の笑みでそう言う。

 西川は、思わず倒れそうになった。



「あの、貴女は……」


「ん?もう言ったはずだが」


 少女は不思議そうに言う。