サイコさんは、憂鬱なのです。








 あかつきさいこって、あの?


 西川は、少女をチラッと見て、再び視線を落とした。



 いや、そんなバカな。

 俺が見たのは、地味な子だった。


 こんな可愛くなかったぞ。



 少女は不思議そうに、考え込む西川を見つめた。


「おい、友哉」


「え?」



 西川は、驚いて顔を上げる。

 少女が、いきなり西川の名前を呼んだからだ。



「なんだか散歩に行きたい気分だ。仕度しろ」


 少女は怠そうにそう言った。



「え、ちょっ……」


 二人がいる寝室から出て行く少女に、西川は慌てて声をかけた。

 けれど、少女はそのまま行ってしまった。



「え、ええ?」


 西川は、頭を整理しようとする。


 あの子が、サイコパス?

 けど、けど、そんな風には……



 西川は、一瞬だけ固まった。


 サイコパスに見えてしまったからだ。

 西川は、少女をサイコパスっぽいと思ってしまったのだ。