ひとりじめ


ー放課後、さっそく委員会の仕事を任され、
誰もいない教室に2人で作業をしていた。

もちろん、山下瑠菜と。

「ねぇ、佐々木桃ちゃんって、どんな人なの?」

作業をしながら、急に桃のことを聞いてきた。

「なんで?」

「前私が、本人のこと何も知らないのに、噂だけで桃ちゃんのこと悪く言っちゃったから、本当はどんな人なんだろうと思って。」


きょとん。

多分、今の俺はそんな感じだろうな

そう、大抵は桃のことを噂できいて、
浮気するすっげぇ悪いやつ、
って決めつけて、


だから桃は友達も少ないし、
女からもいじめられたことがあった。



まぁその時は、俺の女に手ぇ出すなって
言ってやったら一発で片付いたけど。




「俺は、親がいねぇ。」
「・・・え?」

びっくりしたように、
作業していた手を止めて
大きく目を見開いてこっちを見た。


「幼稚園の時に、事故で死んだ。」

俺は祖父と祖母に引き取られ、
小さいながらにも迷惑はかけられないと思い、
気を使って暮らした。


でもそんなことは続かず、

小学校に入った頃、
みんなは親と手ぇ繋いで入学式、
親に買ってもらった筆箱とか、
かっこいいおもちゃとか。


じじいばばあには、
俺が何がほしいとか、何が好きとか、
あんまりわかってもらえなかったせいで
みんながもっていた物を、

俺だけもってなかった。




小学校の段階でグレはじめてた。