「……正直に言うと、そうですね」 ここではっきりと言わなければ、きっと彼は止まらない。 彼は御曹司。私は一般人なんです。こういうお話には、障害が付き物でしょう? 「……そう」 思わず聞き逃してしまいそうなほど、小さな声で、呟いた。 それは、今まで聞いた彼の声のなかで、一番、淋しく思える声で。 はっとして、隣の彼を見上げる。 俯いた、顔は翳り、少し離れた私からは、見えそうにない。 どくん、と大きく心臓が跳ねた。