「百目鬼君、ひとついいですか」
「なに?」
「私たち以上に、遊園地というものが似合わない二人組はいないと思います」

そう言うと、百目鬼君は少しだけ驚いたような顔をした。

一人目。まず、百目鬼君は御曹司だ。
そして、今から行くであろう遊園地は、対して新しいわけでもなく、最新のアトラクションがあるわけでもない場所ーーという話だ。

そんなところを歩く百目鬼君なんて想像できない。

あまり見た目にこだわりがない、と言っていたのを聞いたことがあるけれど、それでも、特に整えられた様子のない髪の毛も、御曹司にしては地味な印象を受けるシャツとジーンズも、百目鬼君の魅力を最大限まで引き出している。

ラフな格好のはずなのに、普通にフレンチレストランにも入っていけそうだ。