【橘茉莉】

「………り、まつり、」

誰かが私を呼ぶ声がする。

寝ぼけた頭で、うっすらと目を開けた。すっかり明るくなった室内は、朝が来たことを示していて。

「……んん……っ」

昨日干した布団はふかふかで、まだ出たくないのに。
思わず寝返りを打つ間にも、呼び声は続く。

「……おかあ……さん……?」

「茉莉‼茉莉ったら!!」

呼び声に混じって、どん、どん、というドアを叩く音まで。
私が寝ぼけているのでなければ、今日は日曜。私には何の用事もない。

なら、もう少し寝させてほしいです…………。

「うーん……まだ……眠い………です……」

絞り出すようにして返事をして、目を閉じると。