「なん…だ、これ。」
細長い円柱ガラスの中に、透明の液体に全身を包まれた男の子が入っていた。
液体の中で浮いているコイツの髪は、とても綺麗な銀色だった。
「この子は言ったとおり“ワケアリ”でね。
寿命より早く死んだんだ。」
「…!」
寿命より早く死んだということは、二つ考えられる。
一つは俺みたいに悪魔が絡んでるパターン。
もう一つは、死神が絡んでるパターン。
「寿命通りに死なない者はごく稀にいるが、これはその中でも珍しいヤツだ。
普通数年もすれば、クロエみたいに人間の時の記憶を残したまま、契約の烙印として黒い羽が生えて、目覚める。
だがこれは目覚めない。
いつまでたってもな。
原因はボクでも分からない。
だから、ここにきてから百数十年…くらいかな、ほっといた。」
研究するんじゃなくてほっといたのかよ。


