紅い果実《BL》


「…死神は、起きたときどうだった?」

「俺は死神っつー名前じゃないの。
クロエって名がちゃんとあるんですー。」

「呼べばいいんだろ!呼・べ・ば!
クロエは起きたときどうだったか聞いてんじゃん、答えろよ!」

「あー、俺な。
まあ普通?

別になにも思わなかったよ。」

「なにもって…!」

「あー俺死んだんだーって。
俺みたいに禁忌を犯した人間は、記憶を残したまま黒い羽が生えて目が覚めるんだ。

悪魔と関わったからな、俺は。

だから俺は、半分死神、半分悪魔なんだ。
持て余すほどの力を持ってるのに、役に立つどころかこの力は俺の大切な人を奪っていく。

…だったら、俺の存在価値はゼロに等しい。
でも、死神は死ねない。

朽ちないこの身体で、俺は永遠に闇をさまよわなければいけない。」

…なんだよ。
コイツ、ほんとに死神?

なんでこんなに、他人思いなんだ。
死神は、いいやつなのか?


…いや、



クロエが他と違うだけだ─────