「それにしても、珍しいな。
初めてとはいえ、ここまで感情がリンクするなんて…
魂の意思を取り込みやすいのか?
それとも…生前似たような経験を?」
「それってどういう…」
「お前さっき“だれか、わたしを助けて”って言っただろ。」
「だって…生きなきゃって、死にたくないって思って、」
「それだ。
魂の感情を自分の感情とすり替えるのは、お前とその魂の一生が似てるからなのか、それともただ単にリンクしやすいだけなのか。
…お前、生きてるときのことは覚えてないんだよな?」
「…普通は、覚えてるもんなのかよ。」
「ああ、お前は寿命より早く死んだ人間だからな。」
「それってどういう…」
「生前に悪魔と関係を持ったか、死神と関係を持ったか。
この二つのうちどれかに当てはまる場合、寿命より早く死ぬ。
俺がそうだった。
だが寿命より早く死ぬと、生前の記憶が残る。
そういうヤツは天国にも地獄にも行けないまま、死神か隷属になる。」
「…よくわからないけど、死神は嫌いだ。」
どうして嫌いかは分からない。
ただ、目を開けたときから死神というモノにひどく嫌悪感を覚えた。


