「俺、確かに記憶を失う前とても大切な人がいたことは覚えてる。」
心が浮く。
だけど、きっとハッピーエンドでは終わらない気がする。
「でもそれが誰なのかも分からないし、どのぐらい好きだったのかもわからない。その人物が白木だったのかもしれない。」
今が夜でよかったと思う。
表情は悟られさえすれど、涙にはきっと気づかれない。
「でも俺にとって過去は過去。失ったってどうだっていいんだ。今俺には大切な人がいるから。」
分かってる。
分かってたよ。
だけど、どうだっていいんだって…。
そんなこと言われたら私はどうしたらいいの?
私にとって奏多を想い続けた日々は何だったの?
奏多にとってあの日々は何だったの?
あの想いは?
あのプレゼントは?
あのキスは?
全てどうでもいい想い出だったの……?


