奏多っていっても奏多じゃないかもしれない。 同じ名前の人なんて沢山いる。 だけど……… 私は考え事をしながら家に向かって歩いた。 ふと、帰り道にあるあの公園が目に入った。 『久しぶりに公園で遊んで行こっかな』 誰もいない公園のブランコに私は腰掛ける。 ギーギィーと古い音を立ててブランコは揺れる。 「なんじゃそりゃ、バカだな」 「あははっ!それでね、奏多っ」 人の声が聞こえてくる。 何処かで聞いたことのある声。 『あ………』 「あーーーー!さっきの!」