Lost Memory













「いえ、大丈夫です。少し手にとって見てみようと思っただけなんで、どうぞ」





『本当ですか?』




「はいっ」






そう言って私に向けた笑顔は、とても可愛かった。
男の子に人気がありそうだな。





女の子はぺこりとお辞儀をしてから別のところへ行ってしまった。





私はCDを買って店の外のトイレに入ろうとした。




すると、さっきの女の子が立っていた。






『あ、あのっ……』





「もしもしー?」






声をかけようとしたが、その子は誰かと電話をしていた。