奏多はビックリしたようにこっちを振り返った。
「いろ…は……」
まただ。
またあの頃のように私の名前を言う。
『待って……!』
浴衣のまま、下駄のまま。
痛いのを我慢してそのまま奏多に駆け寄る。
「お前…、足から血出てるじゃん!」
『このぐらい平気』
「…………ごめん、さっき言い過ぎた。」
『私こそごめん。意地になっちゃった』
私達はお互いに謝り合うと、目を見合わせて笑った。
「お前何泣いてんだよー。以外と弱ぇんだな、だっせぇーーー」
『うっさい!足が痛いから涙出てきただけだし!』
言い合い。
だけど、さっきとは違う普通の言い合い。
奏多の笑顔は無邪気で、心なしか嬉しそうにも見えた。


