Lost Memory
















放課後の教室に一人。





ミンミンとセミの音が耳を刺激する。






うるさくて鼓膜が破れそうだけど、これが無ければ夏とは言えない。








今日は日直。
放課後に黒板を綺麗にして、みんなの提出物と日誌を担任に持って行く。







『暑い………』







ガラ…
ふと教室の扉が開く。







「白木……」



『かっ…黒崎君。…どーしたの?』




「や、ちょっと忘れ物して。」






奏多は自分の席に行き、机の中の教材を手に取る。







一瞬ドキッとした。







無言の沈黙が息苦しい。
前みたいに何か、何か話さないと。








「あのさ…」