私の足は、原因不明の病のせいで
少しずつ自由を失ってきている。


これだと、あと三年もすればもう完全に動かなくなるだろう。


おそらく良くなることは無い。
けれど
絶望することはない。



私は声が聞こえた。
風の囁きが、
木の鼓動が、動物達の言葉が....。


私は自然との会話ができた。


足の代わりにこのチカラを生まれ持ったのかもしれない。



みんなには聞こえていない声を聞いていると気付くのに
時間はそうかからなかった。



すでに、足の病気は進行しはじめていた。


けど、家族は知っていた。
そのチカラが先祖代々、長女が受け継いできたものだということを。



今日もまた、風が吹く。




新しい風───
「おはよう。もう春だよ」




ふんわりと包み込むような
温かな風の噂に、耳を傾ける。



「.....そっか。転校生が来るんだね。」


どんな人かな。

そう思いながら、私は始業式の支度を始めた。