お礼を言って拳から手を離し、立ち上がろうとした。



すると、ぐいっと腕を掴まれ、気づくと汐崎先輩に抱き締められていた。




「え? え? え? 先輩先輩、汐崎先輩!!」




必死に離れようとするが、汐崎先輩の腕の力が強くて離れられない。




「汐崎先輩……」




「なんなの木野下さん。気づいたらいなくて、探し回った身にもなりなよ」




「ごめ…んなさい」




「無理、許さない。どんだけ心配したと思ってんの」




許さないと言う言葉が悲しくて思わず涙を浮かべる。




「…………汐崎先輩」




「なに」




「好きです」