「んで、きみの名前はなんて言うの?」




爽やかな笑顔を間近で向けられ、なかなか声が出ない。




「わ、わ、わ、私の名前は「木野下 このみでしょ?」」




えっ!!!!!!



私より先に私の名前を言ったのは、目の前の汐崎先輩だった。だが今もアジフライを食べ続けている。




「あ、はい。木野下 このみ(キノシタ コノミ)です」




「このみちゃんかぁ。てか、なんで葵がこのみちゃんの名前知ってんの?」




それは私も気になった。面識は無いはずだ。もし会っていたとしたら、こんな完璧な美しい顔忘れるはずが無い。




「………………ナイショ」




それだけ言って汐崎先輩は二階堂先輩の質問責めを全て無視して定食に付いているお味噌汁を飲んでいる。



その後も二階堂先輩は話し掛けてきたので、入学して初めて食堂でこんなに長い時間を過ごした。



二階堂先輩とメールアドレスと電話番号を交換し、その日は先輩達とお別れした。