「そうなのか…」

「はい。後ですね、ひとつ聞きたいことがあって…」

私…なんなんだろ?

「私って彼方と婚約破棄したのですか?」

「は?婚約破棄なんてするわけないだろう?」

え?じゃあ婚約破棄って?
悠斗さんが嘘ついたってこと?

「はぁ⁉︎お前理恵と婚約破棄したって…」
真剣な顔をして怒鳴る悠斗さんを見て、やっぱりこの人は嘘をつくような人には思えなかった。
まぁ、答えは決まっているけど。

「さぁ理恵。帰りましょう?
この男の言うことは聞いちゃダメよ?
貴女は私の道具として生きていればいいのだから。

そう言って私の腕を引くおばあちゃんだけど、私はその手を振り払った。

「なっ⁉︎」

おばあちゃんは有り得ないというような顔をしていた。
おそらく、記憶を無くす前の私は
おばあちゃんの言うことをちゃんと聞いていたのだろう。

でも…

「私は、霧島…だったっけ?には戻りません!悠斗さんについて行きます!」