「いえ、婚約者の件は知っていましたが
隼人さんに聞いた所、婚約は破棄したとお伺いしたのですが…?」
頭にハテナマークを浮かべて聞く悠斗さんに、おばあちゃんは馬鹿ねと言うように笑い、
「婚約破棄?そんなのしてないわ!
それに、私が許すはずがないでしょ?」
ガラ
病室のドアが開いた。
そこには、私と悠斗さんくらいの年齢かな?男の人が立っていた。
話の流れからして、この人が隼人さんだと思った。
「理恵!目を覚ましたか」
入ってきてから私を見るなり喜ぶ人。
「あの…彼方が婚約者ですか?私の…」
悠斗さんと同じ反応をする隼人さん。
「隼人。理恵は記憶喪失になっちまったんだよ。俺の事も、お前の事も忘れてるよ」
悠斗さんが隼人さんに説明する。