無理して笑うな


「そーなんだ!…そっか…」




中井 由奈は少しさみしそうな顔になった。




「なら、悠斗君に先帰ってるって伝えてもらえますか?」




俺は驚いて中井 由奈を見た。




「…いいの?」




「いいんです。それじゃ。」




中井 由奈はペコッと頭を下げると俺に笑顔を見せてから帰って行った。



そこに栗田さんがやってくる。




「ありゃ、帰っちゃったね。」




栗田さんも驚いた様子で後ろ姿を見送っている。




「もう少し粘るかと思ったんだけどね。」




「栗田さん、唯は?」




栗田さんは俺を見るとニコッと笑った。




「蓮から合図があったから楽屋に送っといたよ〜。あんたは本当にそれで良かったの?」




「良いわけないじゃないですか。」




俺は肩をすくめた。




「…でも、休憩のときに泣きそうな唯を見て、誤解は解いてあげないと唯がかわいそうかなぁって。」




「そう、優しいのね。」




栗田さんはハハッと笑った。




「…唯もちゃんとメンバーに頼れてるみたいね。社長に報告してくるわ。」




栗田さんはそう言うと手を振って去って行った。




俺はため息をついてもう一度中井 由奈が出て行った出口を見た。