無理して笑うな



唯の肩がビクッと動いた。



俺は構わず続ける。




「悠斗がいたから、だろ?

ステージに向かって左側にいたのを見た。最初にステージに上がったときに見たんじゃないのか?」




3人も驚いて唯を見た。




「…幼馴染みの、悠斗くん?」




珍しく達也も険しい顔をしている。




「気にしてるのか?悠斗がいること。」




斗真も俺の横にしゃがむと唯の顔を覗き込んだ。




「気にするなよ。

悠斗が来てたとしても、ファンの1人だって思えばいいじゃないか。」




「…でも、ね…」




唯の声が小さくなった。




「女の子とね、一緒にいたの。

もうお別れしてから6年も経ってるから、こんなことあたり前だって分かってるの。だけど…」




唯はうつむいた。




「…まだ、好きなのかな。」




唯が諦めのような笑いを浮かべる。



でも次の瞬間には唯は笑顔で立ち上がった。




「…お願い。

コンサートの間は、笑わせて。笑ってないと自分が抑えられなくなるから。」




唯は笑っているが、目が悲しそうに細くなる。




「笑ってないと泣いちゃうから。」




俺はため息をつき、斗真が立ち上がって唯の肩をたたいた。




「分かった。

その代わり、終わったら泣いていいから。俺達リーダーの味方だし。な、副リーダー。」




俺はしゃがみ込んだまま頷いた。



亜依がパンッと手をたたく。




「はい!この話は終わり!もう昼休み終わるよ、行こう!」