無理して笑うな


〈唯said〉

「無理はしないでね?」




コンサートの準備をしていたあたしに、同じ更衣室の端で着替えていた亜依が心配そうに声をかけてくれた。




「大丈夫!そのために昨日学校まで休んだんだから。」




あたしは満面の笑みで答える。



熱は昨日まで下がらなかった。



みんなに勧められて念のため学校を休んだ。




コンサートは生放送以上に休むことはできない。




中止なんてもちろできるはずがない。




「しんどくなったらすぐに達也に言うんだよ!配置的に達也が1番近いから…」




「分かってる。ありがと、亜依。」




亜依は笑顔で頷いた。



女子が2人しかいないのもあり、亜依は親友も同然だ。



何かと気にしてくれるし、いつも一緒にいる。




「よし!用意できたし行こうか唯。」




「うん!今日も終わったら打ち上げね」




BlueSkyは基本コンサートが終わったあとメンバーの5人とマネージャーの栗田さんとで打ち上げをする。




それがファンの人達に会えるぐらい楽しみだったりする。



あたし達が更衣室を出るとそこには栗田さんが待っていた。



栗田さんははっきりとは歳を教えてくれないけどたぶん30代くらいで、あたし達がデビューしたときからついていてくれる。




お兄ちゃんしかいないあたしにはとても優しいお姉さんだった。




「あなた達きれいよ!さすがあたしの亜依と唯ね。」




栗田さんは1人でうんうんと頷き、亜依はそんな栗田さんに笑って見せた。



「さあ、向こうで3人が待ってるわよ。あたしはここで見てるから、精一杯頑張って来なさい!」




あたしは知らなかったんだ。



この後、1番会いたくて会いたくない人に会ってしまうなんて。



それもあんな形で。