「だって6年も会ってなかったんだぜ?昨日みたいに拒絶されたら…」
「はあ、まあ言いたくて言ったわけじゃないとは思うけど、それはお前が悪い。」
ズキッ
そんな俺の心の音が聞こえたのか、流星はまたため息をついた。
「お前がそこまで女々しいやつだとは…」
「はーい!練習終わりです。休憩に入って下さい!」
マネージャーらしい椿の一言で俺達はベンチに戻ってドリンクを手に取った。
「椿!いいことってなんだよ。」
「え?あぁ、今度の試合あるでしょ?あれ全国区の試合じゃん?」
椿は他のメンバーも耳を傾ける中変にもったいぶっている。
「なんと!あんたが大好きなBlueSkyがキャンペーン大使に選ばれたのよ!
BlueSkyが宣伝するからって話題になるから注目されるでしょ?」
椿の目はキラキラ輝いている。
ああ、そうだ
椿もBlueSkyが好きなんだった
井上 蓮が1番好きなんだっけ?
俺は昨日そいつと喋ったんだな
そんなこと言ったら質問攻めにあいそうなのであえて黙る
流星の顔も興奮の色に変わる
「マジか!亜依ちゃん来るかもじゃん!やったね!!」
飛び跳ねて喜ぶ流星を俺は苦笑いして見つめた。
唯に会える。
でも話す機会はないだろう
相手は超人気なアイドルなのだ
それに会えたところで気まずい
俺がため息をついて顔を上げると、椿の喜ぶ流星を見る目が悲しそうなことに気づいた。


