無理して笑うな


〈悠斗said〉



「…うん。もう1度。」




「…うんって言ったのに?」




俺は唯のメアドを知れたことをきっかけに次の日の部活中流星に全部話していた。


唯とは幼馴染みで昔いろいろあったこと


昨日のこと



そして、いまでも好きなことを…



しかし、流星には聞き返されてしまった。




「聞いてないぞ!

あのBlueSkyのリーダーと幼馴染みだぁ!?お前なんでもっと早く言わなかったんだよぉ!」




「流星!うるさ〜い!」




ベンチからドリンクを用意している途中だったマネージャー、春野 椿の叫び声が聞こえる。




「パスの練習くらいおとなしくやったらどうなの!?

ただでさえあんたはいつでもハイテンションでうるさいんだから!」




そのやりとりを先輩達は笑い、後輩達は恐怖の目で椿を見ていた。



自分は目をつけられまいと強く誓ったらしい。




「いいじゃねーかよ!部活は楽しまなきゃな!」




「そんなこと言ってないの!今度試合でしょ!?パス練終わったらいいこと教えてあげるからおとなしくやりなさい!」




椿は流星の扱い方をよく心得ていて、流星はその言葉を聞いたとたん静かになった。




「ごめん、流星。言いにくくってさ。

どうしようか迷ってる間にお前、BlueSkyのファンになっちまうし、余計言い出しにくくなって。」




「いや、いい。俺がお前の立場でも言いにくいわ、これは。」




流星は1人納得したようにうんうんと頷いた。




「で?女子に興味ないと思ってたお前にこんなこと聞くとは思ってなかったけど、メアドもらったんだったらメールするんだろ?」




それを聞かれて俺はぐっと黙った。



流星はそんな俺を見てボールを受けそこねる。




「…は?マジで??」




流星は慌てて転がるボールを拾い上げると心底驚いたように俺を見た。




「まさから怖くてメール出来ないなんて言わないよな??」