無理して笑うな


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俺はため息をつくとソファーから立ち上がった。



部屋に向かおうと階段に足をかけた俺に、母さんは「瑞希が帰ってきたらおりて来るのよ〜」と、まだテレビの中の唯を見ている。



初めて唯がテレビに出ているのを見て、俺は心底驚いた。



確かに可愛かったし、歌もダンスも上手かったがまさかアイドルとしてテレビに出るとは思わなかった。




しかもデビューして大人気になったBlueSkyのリーダーだ。



数年見なかったうちに本当に手のとどかないところに行ってしまった。



俺は自分の部屋に入ってすぐ、机の引き出しを開けた。



そこには筆記用具に埋もれるようにうすいピンクの封筒が顔を覗かせている。



俺はその手紙を手に取ると開いて、同じ色をした1枚の手紙を取り出した。