でも、あたしはそのとたん拓真君の胸を力一杯押した。 あたしを抱きしめていた拓真君はふらふらとよろける。 「ど、どーいうつもり!?本当にキスするなんて…」 拓真君は唇を噛んで俯いている。 「だって、こうでもしないと俺のこと見てくれないと思って。」 「え?」 あたしは驚いて拓真君を見た。 「好きなんだよ。唯ちゃんのことが。」 監督も、スタッフの人達も みんな、山場を越えたことにみんなで肩を叩き合って喜んでいる。 そのせいで拓真君の声はあたし達にしか聞こえていないようだった。