無理して笑うな


そんな言葉が交わされる横で、俺は唯を直視出来ないでいた。



今考えると、俺達撮影初日しか話せてねぇ…



…ああ…情けない………




「唯ちゃん!最後の撮影頑張ろうね!」




俺がそんなことを考えていると、俺の隣で拓真がニコッと笑う。




「うん!よろしく、拓真君!」




それに唯も笑顔で返す。




それを見て俺はまた胸にモヤモヤしたものがかかるのを感じた。



今日はあれだぞ?



…キス…シーンなんだぞ?



2人とも気にしてないぐらい打ち解けてるのか




それとも2人がプロだからか…




後者ならまだいいんだけど



打ち解けてるってことは、もう付き合ってるとか?





…そんなわけないか。




考えがどんどん悪い方に進んでいくせいで、俺は知らないうちにため息をつく。




「ん?どうした悠斗?」




「…いや、なんでもない。」




また、唯が少し寂しそうに笑うのが目に入った。




(……無理して笑ってる)




そう思うものの、俺には何も出来ない。





ごめん



ごめんな、唯。




でもこの撮影が終わったらって、




俺は決めてるんだ。












唯に気持ちを伝えたい。











ずっとそう思ってたから。



撮影が終わったら、次こそ




ずっと思ってたことを伝えよう。



『ずっと前から好きだった』って





ドラマの陸のセリフを借りる。



俺はそう、決めたんだ。